不同視と不等像視

不同視と不等像視

不同視とは左右の矯正度数の差が同じではないと言うことですが、少しくらいの違いはだれでもありますが、一般に左右の度数差が2.00D(ディオプター)以上の時に言われているようです。

■不等像視について

左右差が2.00Dになるとメガネでは不等像視が5%(1Dにつき約2.5%)に達し融像が困難になると言われています。融像が困難になる境界が2.00Dなので、それ以上の左右差があると不同視とよばれているようです。
(不等像について1Dにつき約1.3%~1.6%と記されているのもあります。ちなみに1.3%だと3.8D、1.6%だと3.75Dで不等像視が5%になります。これからすると左右差3.8D以上はまぎれもなく不同視と呼んでよいようです。)

■不等像視検査には?

不等像視検査にはニューアニセイコニアや偏光視標を用いたコの字テストなどがあります。

■不等像視を生じさせる種々の成因

  1. 不同視矯正から生じるSM(Spectacle Magnification)の差から生じる不等像視
  2. 左右眼の視細胞などの神経受体の密度の相異から生じる不等像視
  3. 視器の構造変化から生じる不等像視(前眼房の深さ等)

■不同視の症状

不等像視の患者500人が訴える症状の臨床報告 (Bannon&Triller 1944)左右眼の倍率差

  • 0.00%~0.75% ほとんど違和感は感じない
  • 1.00%~3.00% 敏感な人は違和感を感じる
  • 3.25%~5.00% 人により両眼視が損なわれる可能性が出てくる
    (一般に5%未満は融像出来ると言われている)
  • 5.25%以上   一般に両眼視することが出来なくなると言われている

■不等像視の特徴的愁訴。

  • 頭痛(偏頭痛)を訴えるパーセンテージ     67%
  • 眼精疲労を訴えるパーセンテージ        67%
  • 光線過敏症を訴えるパーセンテージ       27%
  • 読書が困難と訴えるパーセンテージ       23%
  • 吐き気を訴えるパーセンテージ         15%
  • 複視(運動性融像の破れ)を訴えるパーセンテージ11%
  • 神経質、いらいらを訴えるパーセンテージ    11%
  • 目まいを訴えるパーセンテージ          7%
  • 空間のゆがみを訴えるパーセンテージ       6%

■不同視眼の種類

不同視には屈折性の不同視と軸性の不同視が考えられます。

  • 屈折性の不同視は眼光学系の屈折力が強すぎるか弱すぎるかが原因で生じます。
  • 軸性の不同視は眼光学系の屈折力は普通だが眼軸長が長すぎるか短すぎる事で生じます

■メガネとコンタクトの不同視矯正

  • 屈折性の不同視 メガネよりコンタクトレンズの方が良い
  • 軸性の不同視  コンタクトレンズよりメガネが良い場合がある。

実際には「屈折性の不同視」や「軸性の不同視」が必ずしも単独にあるわけではないので不等像視検査をしたうえでメガネやコンタクトの選択を考えます。

■単焦点、遠近両用メガネの不同視矯正

  • バイビジョンとモノビジョン
    不同視の程度や眼位の関係で両眼視が難しい場合モノビジョンで対処する方法がある。
  • 遠近両用累進レンズと不同視
    累進帯長を短くすることで近見でのプリズム差を少なくする方法がある。
  • 遠近両用バイフォーカルと不同視
    スラブオフ加工にて小玉での上下プリズム差をなくす方法がある。

■メガネの不同視矯正の問題点

メガネで不等像視が解決出来ても他にプリズム作用という問題があります。それはレンズ周辺部を通して見ると左右の度数の違いから異なるプリズム作用が働き両眼視に負担をかけてしまうという問題です。

■不同視メガネのプリズム作用_1

左の度数が-2.00D右の度数が-5.00Dとし光学中心より左に2cmずれた所を視線が通るとしたら

左方視した場合プレンテスの公式より

左眼は2×2=4より4△base-out作用を受ける。力は輻輳方向
右眼は2×5=10より10△base-in作用を受ける。力は開散方向
両眼では10△-4△=6△の開散を強いられる。
上記の場合両眼融像視する為には、輻輳余力の確認が必要になります。

■不同視メガネのプリズム作用_2

右方視した場合

左眼は2×2=4より4△base-in作用を受ける。 力は開散方向
右眼は2×5=10より10△base-out作用を受ける。 力は輻輳方向
両眼では10△-4△=6△の輻輳を強いられる。
この場合両眼融像視する為には、開散余力の確認が必要になります。

■不同視メガネのプリズム作用_3

左の度数が-2.00D右の度数が-5.00Dとし光学中心より下に3cmずれた所を視線が通るとしたら
右眼は3×5=15より15△base-down作用を受ける。
左眼は3×2=6より4△base-down作用を受ける。
両眼では15△-6△=9△の差が出る。
両眼融像視する為には、その差を縮める努力が右眼は下方視、左眼は上方視方向が必要になります。

■不等像視(aniseikonia)

「不等像視」とは、左右の網膜像の形または大きさが異なることを言います。本質的な不等像視(視細胞の密度の相違や前眼房の深さの相違から生じるもの)などもありますが、ほとんどは不同視矯正後に発生する不等像視です。

■不同視矯正後に発生する不等像視

左右の網膜像の形または大きさが異なると融像(左右眼に映る二つの網膜像を重ね合わせて一つの像として見る)が困難になってきます。個人差もありますが、許容範囲を超える不等像視は、眼精疲労や抑制が生じ正常な両眼視機能が出来なくなってしまいます。

■不等像視試験は簡単です

不同視から生じる不等像視の有無は、角膜の曲率半径を測定したり眼軸長を測定したりすることで有る程度判断できますが、テストレンズを装用して不等像視テストをするのが一番手っ取り早く間違いのない方法であります。

■プレンテスの公式について

レンズの光学中心からの距離=h(mm),レンズの度数=Dデオプターとするとその位置のプリズム量=△は
△=h×D/10より近似値が求められるというものであります。

例 レンズ度数=3デオプター、レンズの光学中心からの距離=5mmでのプリズム量は
△=5×3/10=1.5△

■Knapp’s lawについて

Knapp’s lawについて「軸性屈折異常の場合目の第一焦点に眼鏡を掛ければ、その網膜像の大きさが変わらない」とあります。 これは相対眼鏡倍率についての事でありshape factorを無視した時に成り立つというものです。

網膜上の像の拡大、縮小を考えるとき眼鏡倍率SMと相対眼鏡倍率RSMがあります。

  • 眼鏡倍率SM(spectacle magnification)は、裸眼の時のぼけた網膜像の大きさと、矯正したときのはっきりした網膜像の大きさとの比で定義される。
  • 相対眼鏡倍率RSM(relative spectacle magnification)は眼鏡矯正眼でのはっきりした網膜像の大きさと標準的な正視眼ではっきりした網膜像の大きさとの比で定義される。

Knapp’s lawは相対眼鏡倍率についての事なので、以下相対眼鏡倍率についてお話してまいりたいと思います。

今、標準的な正視眼としてhelmholtzの模型眼を採用しましょう。
眼の全屈折力=67.3D、前焦距=14.858とし。前焦距とは「眼の前側焦点」(物側焦点、第一焦点)の事ですので、(参考:眼の前側焦点は D=1/fより0.01485とメートルと算出される)

眼球全体の屈折力は

DO:標準的な正視眼の主点屈折力(helmholtzの模型眼では67.3D) (=X)
DC:遠用矯正レンズの屈折力
d:矯正レンズと眼の主点との距離
D:屈折異常眼を矯正レンズで矯正したときの全体の系の主点屈折力

D=DC+DE−d・DC・DE
で表される。
RSM=DO/D=DO/ DC+DE−d・DC・DE

標準的な正視眼の第一焦点距離は角膜頂点前方約15mm(前術では14.85mm)の位置にある。眼鏡矯正レンズの後頂点位置が仮にこの点と一致していたとすると。
d=1/DEとなり
RSM=DO/DEと書き換える事も出来 RSM=1となります。

つまり「軸性屈折異常の場合目の第一焦点に眼鏡を掛ければ、その網膜像の大きさが変わらない」となります。

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